『僕だけの楽園』
「ただいま」
そう声をかけると彼女の体がビクリと震えた。
「ただいま」
もう一度名前を呼びながらそう言うと、彼女は震える声で「おかえり」と言った。
「今日もいい子にしてた?」
「うん…もちろん…!してたよ…」
「ふぅん……その割には手首に痣が増えてるね」
彼女の手首を持ちあげると、ジャラという音と重さをついてくる。彼女の手首に着いている銀色の下にはぶつけたような痣があった。彼女は「あ…え……」と戸惑った声を出す。気づかれないとでも思ったのだろうか。僕には全部お見通しなのに。
「…ここから逃げようとしたの?」
そう問うとまたビクリと震えた彼女の体。「はぁ…」とため息つきながら僕は口を開いた。
「どうしてここから逃げようとするんだい?ここは僕たちの家だ。楽園だ!君が逃げる理由なんて無いはずだ」
僕がそう言うと、それまで怯えるように震えていた彼女は目をキッと釣り上げて怒りを顕にした。
「僕たちの楽園!?巫山戯ないで!!楽園だと思ってるのはあんただけでしょ!?私はこんなこと望んでない!!」
言い切るとハァハァと肩で息をする彼女。僕はそんな彼女の両頬に手を当て顔を近づけた。
「…すごい!君のそんな表情初めて見たよ!あははは!今日はいい日だ!」
僕の手に包まれている彼女は絶望したような顔をしている。僕は彼女に向けてとびっきりの笑顔を浮かべた。
「やっぱり君を手放す訳にはいかない!」
【楽園】
4/30/2026, 3:33:01 PM