NoName

Open App

 放課後。 授業を終えたうさぎは、行きつけの広場へ向かった。
 そこは草原になっていて、天気がよいときは寝転がるのが習慣になっていた。
「今日もいい天気」
 うさぎは寝転がって、目を閉じる。
 心地よい風がうさぎの頬をなでた。

 いつの間にか、眠ってしまったうさぎ。
 彼女はそこで夢を見た。
「ハハハハハハ!」
 高笑いをする女性の声が響く。
「あなた、いったい誰なの?」
 うさぎは変身しようと、ブローチを手に取った。
「待て!」
 女性の手にはぐったりした衛が抱えられていた。
「まもちゃん!」
「この男を助けたければ、余計なことはするな」
「まもちゃん、まもちゃん!」

「…こ。うさこ! しっかりしろ!」
 衛の声でうさぎは目を覚ました。
「まもちゃん… 今のは夢?」
「なかなか来ないから、心配になって来てみたんだ。いつもうさこは天気がいい時はここによってるって言っていたし。それより、うなされていたけど大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
 うさぎはそう言って立ち上がった。
「行こう。まもちゃん」
「ああ」
 2人は歩き始めた。
(たとえ何が起こっても、あたしたちなら乗り越えていけるよね)

5/4/2023, 10:55:49 AM