「お前の生き方って刹那的すぎんのよ」
昔、大学時代の先輩と飲みに言った時に言われたことがある。
「どゆこと?せつなてき?」
「刹那っていうのは極めて短い時間、みたいな意味な。ってか知らんのか、意味」
「わざと難しく言うなよな。」
俺がそう文句を言うと
先輩は大事なのはそこじゃないのよと言って
グラスのビールを飲み干した。
「あんまりにも先を考え無さすぎなんだよな。その日が楽しかったらいい、今この瞬間が楽しいのが1番!みたいなのが見てて危なかっかしいんだよな。
そろそろちゃんと将来の事とか考えないと。」
「ジジィみたいなこと言うなよめんどくせぇ。いいんだよ、俺は。多分だけど早死するタイプだからさ。その日この瞬間を楽しいって思えてないとある日突然死んだら後悔するじゃん。」
子供の屁理屈みたいな事を言ってると
思ってはいる。でも本当にそう思っている部分もあった。
人生は短い。親を早くに亡くした俺はとにかく後悔しない生き方をしたかったのだ。
親のようにやり残した事、悔いを残して死ぬなんて絶対に嫌だった。
「まぁお前の人生だからな。俺はこれ以上は言わんけど。自分が人生をかけて大切にしたい人が出来た時に、金とか職とか特技とかさ、とにかくなんでもいいから武器のひとつでも持っておけよ。」
「…おぅ」
「選ばない人生はいいけど、選べない人生にはしないでくれよ。お前には幸せに生きて欲しいんだ」
その為には一緒に生きてくれる人が
お前にはきっと必要だよ、と先輩は言った。
その言葉をそれから数年後に痛感することになるとは
その時の俺は知る由もなかった。
(これはあなたに出会う前の話。)
4/28/2024, 12:45:23 PM