既読がつかないメッセージ
“またあしたね!”
今日もまた、ふとトークルームを覗いてしまう。
この字列に、胸を鷲掴みされたように痛む。それでも見てしまう。
メンバーが誰もいないグループLINE。それがこのトークルームの正体だ。
あの子にいつも言っていた言葉。
あの子にいつも言われていた言葉。
あの子に今でも言いたい言葉。
あの子に、あの日、言えなかった言葉。
LINEなんか無かったあの時代、あの子とは面と向かわないと話すことしか出来なかった。
それなのに、言いそびれた言葉が今も重くのしかかってきて、自責の念に駆られる。あの日、あの子に、この言葉を言っていれば何か変わったのかもしれない。今からでも伝えたら、会えるかもしれない。過去が現在が描き変わるかもしれない。
LINEを手に入れた時、あの子と繋がれたら。そう思うと、トークルームを立ち上げ、あの時のやり直しの言葉を送った。
あの日から15年。
送った日から10年。
あの子は既読すらしてくれない。できるはずもない。
毎回卒業式で旅立ちの日にを歌えない。
♪懐かしいともの声 ふとよみがる__
あの子の声がよみがえって、涙が出る。歌えなくなる。
すぎた事だと、認めたくない。
トークルームに表示された文字は風化することはない。
私とあの子の思い出も、風化させたくない。絶対に。
置いていかれた、重い重い後悔と悲しさを背負って今日もまたなんとか生きた。
9/20/2025, 3:58:22 PM