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※差別的意図は一切ございません

「ああ神様! 他には何もいりません」
少女は手を合わせる。神どころか管理人さえ失っていそうな神社は、ただ静かに佇む。
「世界を変えてください、あの子に他の人よりも親切にしてください」
少女は友人の幸福を願っていた。アレルギーで、世界の殆どに傷つけられてしまう無菌室の親友。
「お願いします! あの子ともう一度だけでも遊びたいの、話したいの……!」
少女の痛烈な思いは神に届いたのだろうか。
その次の日世界は変わった。

「りり! 遊びに行こうよ!」
――20☓☓年
「今日すっごい良い天気だよ、りりー?」
突如地球に衝突した隕石により、文明的建築物は壊滅。太陽の急激な接近による地上の高温化により先住民は地下シェルターに追いやられ、地上を走るのは宇宙からの移住者、そして新生物。
「756! 何してんだよ行くぞ」
彼らは全員数で管理されており、主となる――人は熱に強い身体と美しい容姿を持つ。
「でも、りりが――」
「地球人が地上に出てくるわけねえだろ。行くぞ」
地下シェルターの扉に後ろ髪を引かれながらも、756と呼ばれた少女は歩き始める。
りりが信じた親友はナンゴロと名乗る摂氏67度以下での生存が困難な移住者だ。純粋な少女は彼女のために祈り、そのためか否か世界は滅びた。
彼女が本当に願うべきだったのは、世界の変換ではなく少女二人の幸福である。
それを捨て置いた彼女の痩躯は、地下シェルターで蹲り、二度と動くことはなかった。
【何もいらない】2024/04/20
序盤の注意書きが何の予防線なのか気付いた人は気にしいかも。

4/20/2024, 3:18:06 PM