シロツメ ナナシ

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『灯火を囲んで』


灯火とは少し違うかもだけど

私の実家には古いストーブがある

外からマッチなどで
火をつけてから使うタイプのものだ

古いというのはわかってるし
温まるのに時間はかかるが
その温かさがなんだか違う

自分のうちでは
最近のストーブをもちろん使ってるが
これはこれでなんか好きなのだ

2人の子どもは初めて見るのか
興味があるようで
せっかくなので見せてあげることに

私はマッチを使う
まずそこから驚いたようだ
手元で火をつける道具そのもの
というのもそうだし、
火がつくことそのものにも
火がちゃんと火の色をしていることにも
驚きを隠せない様子だった
確かに家でストーブを使ってるが
その火は見えづらいし、
何より火が青色だから
そういった違いを覚えた様子

ストーブより点火に時間がかかるが
その火が灯されていく様子に
なにか興味をそそられるようで
まるで猫が前かがみで座るように
子どもはストーブの前に陣取っていた
危ないので
とりあえず少し遠ざげる


ゆっくりと、ゆっくりと、
暖かくなっていく様子に
どうやらワクワク感があったようで
面白そうに眺めていた

思いのほかじわじわと
その温かさに驚き
徐々に自分から遠ざかっていく様子は
昔の自分を見ているようで
なんとなく微笑ましくなった
その火の温かさに嬉しさを覚えたのか

2人はしばらく
そこから動かなかった―――


〜シロツメ ナナシ〜

11/8/2025, 5:28:47 AM