きらの。

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過ぎ去った日々


「あ、死んだ。」
俺は思っていたよりあっけなく死んだ。
だが、俺は悲しくなかった。やっと先に死んでしまった彼女に会えるからだ。
どうやら死んだ人はまず空の上にある門に向かうらしい。そこで天国と地獄どちらに向かうのか決めるのだとか。
俺はあくまで普通の生活をしてきたため、門番らしき人から天国行きと上に繋がる階段を指さしながら言われた。
(やっと彼女と会える!)
俺はもうすでにドキドキしており、顔は少し赤くなっていた。門番の説明も聞き流していたがある言葉だけがはっきりと聞こえた。
「生前の記憶は全て消えるのでご理解ください。」
くちびるがかすかに震え、ひゅっと息が漏れる。
「そ、それは、どういう、、」
「そのままの意味ですよ。」
淡白に門番は答える。
俺は諦めきれず訴えるように言う。
「それってどうしても消さなきゃ行けないんですか。俺は、俺は、、」
門番はすると申し訳なさそうな素振りを見せ、「規則ですので。」と答える。
「ではこちらの階段を登れば天国に行けますので、どうぞお進み下さい。」
その言葉と同時に俺の体は無意識に動き始め、階段を1段ずつ登り始めた。
生前の彼女との思い出が蘇る。彼女の輝く笑顔、素振り、全てが少しづつ霞み始める。
自然に涙が溢れ出す。涙とともに過ぎ去った日々の思い出は薄れていった。






「ここは、、?」
「はじめまして!ここは天国よ!」
「?」
「?、どうしたの??」
「いや、見覚えのあるような顔だなって思って、、」
そういうと彼女はキラキラと輝く笑顔を見せた。

3/9/2024, 3:14:45 PM