『どこ?』#12
「どこにいるの?」
「ここだよ!」
嬉しそうな声。君の明るい綺麗な声。庭の大きな木の後ろから小さな顔を覗かせて笑う君。この小さな幸せを僕が一生守らなきゃと思った。
「どこにいるの?」
「こっち!」
そう言って走って僕に近づいてきて図書室まで袖を引っ張っていく。この頃の好きな本はお星さまの本だったっけ。きらきらするお星さまの光が僕の目みたいで好きだって教えてくれた気がする。そんな事ないと思うけど少しだけ嬉しかったな。
「どこにいるの?」
「…ここ」
小さな声。君の小さな声。庭の大きな木の後ろで倒れていた君。転んでも泣かない強い君の涙の混じった声。どんなに痛くてもどこにいるかと問う僕に必ず応えてくれる。必ず見つけるよ、どこにいても。
3/19/2025, 10:09:01 AM