千歳緑

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胸が高鳴る 

 右手を取られた。
 手のひらに頬を当てられる。
 目は構え、と命令してくる。

「仕事中ー」

 逆の手でスマホをタップする。書面を見るだけならそれでいい。
 すり、と頬擦り。解放の気はないようだ。

(頭でも撫でたら満足するか? 逆に怒りそうだな)

 そう思っていたら、手首を包み込むように両の手で拘束される。
 ちゅ、と音を立てて、口付けされた。

(あーあ、子憎たらしいワザ覚えやがって…)

「どきどき、しない?」
「しねーよクソガキ」

 ティーンのガキじゃあるまいし。と続けると、手のひらの感触から、奴がニンマリ笑ったのがわかった。

「手首、ふっといよねー。こんだけ太けりゃ脈拍もわかりやす…」

 俺はすぐさま右手を力任せに振り解き、そのまま奴の脳天にチョップを叩きこんだ。

 

3/19/2026, 1:23:14 PM