頭空っぽにして読め

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この話にはGL要素が多分!軽ーく!含まれています!なんそれ見たくない。と思った方Uターン推薦。何でも良いから見せろな方そのままどぞ!


















嬉しそうに笑う君。けれどよく目を見ると、その目は嬉しそうでもないし、笑ってもいない。ただただ無。なにも考えていないし、感じていない。
まだ見つからない。君の欠けた感情の最後のピース。喜びだけがない。君はどこにあるのか知っているという。

「知っているけど教えてあげない」

楽しそうに言う。私は君を完成させてあげたいんだ。教えて欲しい。そう頼むと、ヒントをあげる、そう言われた。

「灯台下暗しだよ。頭の良い君なら、10年後には気付くんじゃないかな」

そう言われたが、10年たってもまだ、見つかっていない。
彼女がすでに消してしまっているのかも。

「見つからなかった?そっかぁ。ま、別に良いよ。一つないからとて、どうこうなるわけじゃないし」

明るく話す彼女は、愉しそうに目を細めた。

「答えだけ、聞いとく?」

「…知りたい」

彼女は私の胸にそっと手を当てて言う。

「ここだよ。僕はここに隠した。僕も、君も取り出せないここに。」

「取り出す方法は?」

君が精一杯幸せになること、そう言われたが、それは永遠に叶わない気がした。

「知っててやったの?」

「うん。知ってたからやったの。」

君が完成して、沢山知らなかった感情を知って、沢山の感情を知った君に告白して、沢山の感情を持った君の返事を聞く。それが私の幸せなのに。

「君ってたまに嫌なことするね」

「はは、僕はいつだってヤな奴だよ」

そんな話をしたのが、21年前。今も私は彼女の呪縛の中。彼女のエゴの檻の中。

5/23/2023, 12:57:11 PM