ジーキャー

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 懐かしき夢と現実の単調さに飽き飽きしている。
けれど、夢は懐かしさを損なうことなく、今も鮮明さを帯びている。
 現実はただただ単調でしかないというのに。
 単調な現実に相反するかのようにして、懐かしき夢は日々鮮明に色彩を放っている。
 一体どういうことなのだろう。何かの病気なのだろうか。
それとも、夢からの何かしらのサインなのだろうか。それは自分には分からない。
 しかし、この相反さを楽しんでいる自分に気づく。
日ごとに鮮明さを強めていく夢と、日ごとに単調なつまらない現実。
 何時のころからか、夢を見ていることを楽しんでいる自分がいた。
 そして、堕ちていくことに気づかないまま、夢と現実が逆転してしまった。
 けれども、それも仕方ないのかもしれないのだと思う。現実のほうがあまりにも単調でつまらないのだから。
 つまらない現実よりも楽しい夢のほうが良いだろう。
 そうして、ついにはつまらない現実はなくなり、色彩豊かで楽しい夢だけが残ったのであるーー。

ーー現実がつまらないと感じ、夢が楽しいと思うのなら、気を付けたほうがいい。
 夢と現実が逆転するとは、即ち、生と死が逆転するということなのだから。
 彼がどうなったかなんて、聡明な者にとっては、思考を巡らすだけで分かるだろう。
 つまらない現実の単調さは、別の単調と同調することによって、ただの単調さから抜け出せるはずなのだからーー。

12/5/2024, 10:12:14 AM