かたいなか

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前回投稿分に繋がるおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこには、滅んでしまった世界からこぼれ落ちて、行き場も生きる場所も無くした生命のための、
いわば「難民シェルター」がありました。

三食おやつ付きにお酒も完備。
リラクゼーション施設にレジャー施設、大きな大きな自然だって豊富です。
人工太陽の適切な運行と、滅んだ世界に根付いていた植物たちによって、「四」季ではありませんが、ともかく季節のうつろいも完備。

今はちょうど、山の幸が一気に芽吹いて、
ウチュウタコ・ミョンミョンオニワラビが、
遠くの空へ一番近い、高山の日陰に出現中。
ミョンミョンオニワラビはとっても貴重な山菜で、
春の盛りに1本食べれば、めくるめく、深淵宇宙の悦楽と美味と■■■が、
たちまちのうちに心魂をかけめぐるそうです。

食べ過ぎると、それこそ「遠くの空へ」魂が、数分くらいフワフワ連れて行かれてしまう心地とか。
すなわち、なかなか度胸が試される山菜なのです。

と、いう宇宙ワラビのハナシは置いといて、
世界線管理局の難民シェルターに使われている人工太陽は、もちろん最高品質の部品とプログラムと、動力源とを使っていますが、
それでも人工物ですので、毎年の簡易点検と、3年ごとの定期検査と、15年に1回のメンテナンスが実施されます。

その年は検査とメンテナンスが重複する、30年に1度の年でしたので、
人工太陽の元々の管理者であるところの収蔵部と、
実際に運用している環境整備部難民支援課が、
合同で人工太陽の総点検と、部品チェックとを、
1日かけて、為すのでした。

人工太陽のメイン電源を一旦落として、
太陽の熱を冷ましながら降下させて、
「遠くの空へ」一番近い、難民シェルター敷地内でいちばん標高の高い山に固定したら、
収蔵部と環境整備部の局員が、それぞれの専門性を活用して、大規模メンテナンスを為すのでした。

ちなみに1日いっぱい人工太陽がお休みする、その間にシェルターで開催されるのが、常夜祭です。
難民支援課が総力を上げて、難民シェルター内を電設や照明ドローンでもって、
幻想的に照らして、花火やオーロラエフェクト等々を展開して、それはそれは美しく飾るのです。

さて。
「カモシカさぁん!収蔵部側の表層チェック、ぜーんぶ終わったよぉ。な〜んにも問題無かったー」
遠くの空へ一番近い、高い高い山に作られた、人工太陽整備用の施設の中で、
収蔵部の局員・ドワーフホトが言いました。

「よし。では深層チェックに移行しよう」
施設までの降下中に、だいぶ温度は冷めたものの、まだまだ高温な人工太陽です。
環境整備部の局員・カモシカは、その高温な巨大機構を、カチリ、かちり、ゴゴゴ、ごごごご、
両腕にはめた大きい群青で、大きな10のパーツごとに分解してゆきました。

「カモシカさん、その機械義手、なーにぃ」
「この人工太陽をメンテナンスするための、補助アームだ。これを使えば熱が伝導してこない」
「へぇ〜。べんりぃ」

カチリ、かちり、ゴゴゴ、ごごごご。
環境整備部局員のカモシカと、収蔵部局員のドワーフホトは、テキパキそれぞれの為すべき仕事を、それぞれのスピードで為してゆきます。
遠くの空へ一番近い、山の上でのメンテナンスは、それから丸々1日かけて、
ゆっくり、しっかり、進むのでした。

4/13/2026, 4:25:50 AM