NoName 777

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「君の声がする」

「……突然どうしたん?」

「いや、なんか雰囲気にひたりたくて」

「雰囲気?」

「大切な人がいたらこんなセリフ言いそうじゃない?」

「いや知らんけど」

「……まぁ、経験したことないよな」

「落ち込むなよ、いい事あるってば」

「あるかなぁ」

「少なくとも妄想だけはいい思いにひたれてるじゃないか」

「なんか余計悲しくなってきた。えっ?このまま妄想で人生終わるの?」

「多分八割くらいがそんなもんよ人間。だから気にすんな」

「夢も希望もありゃしない」

「ないとわかってればそんなに気になんないでしょ」

「ねぇ、事実なんだけど、ない前提で言うのやめてよつらい」

「お前だけが辛いと思うなよ」

「いや、そういう事ちゃう。そうなんだけどもっと優しくしてよ」

「ちゃんと現実教えてるじゃん。優しいよね」

「そんな優しさいらないんだけど」

「わがままだなぁ」

「わがままなのこれ!」

「そもそもお前が変なことしてるのが悪い。何が君の声がするだよ。厨二か?」

「そこまで言うほどのことしたの俺?なんか恥ずかしくなってきた」

「最初からお前は恥ずかしいやつよ」

「え?衝撃の事実なんだけど。え?おれそもそも恥ずかしい存在なの?」

「何を今更」

「辛い」

「良かったな」

「なにがよ!」

「辛いのがスタンダードって知れて良かったね」

「……君の声が辛い」

2/15/2025, 11:28:28 AM