「君の声がする」
「……突然どうしたん?」
「いや、なんか雰囲気にひたりたくて」
「雰囲気?」
「大切な人がいたらこんなセリフ言いそうじゃない?」
「いや知らんけど」
「……まぁ、経験したことないよな」
「落ち込むなよ、いい事あるってば」
「あるかなぁ」
「少なくとも妄想だけはいい思いにひたれてるじゃないか」
「なんか余計悲しくなってきた。えっ?このまま妄想で人生終わるの?」
「多分八割くらいがそんなもんよ人間。だから気にすんな」
「夢も希望もありゃしない」
「ないとわかってればそんなに気になんないでしょ」
「ねぇ、事実なんだけど、ない前提で言うのやめてよつらい」
「お前だけが辛いと思うなよ」
「いや、そういう事ちゃう。そうなんだけどもっと優しくしてよ」
「ちゃんと現実教えてるじゃん。優しいよね」
「そんな優しさいらないんだけど」
「わがままだなぁ」
「わがままなのこれ!」
「そもそもお前が変なことしてるのが悪い。何が君の声がするだよ。厨二か?」
「そこまで言うほどのことしたの俺?なんか恥ずかしくなってきた」
「最初からお前は恥ずかしいやつよ」
「え?衝撃の事実なんだけど。え?おれそもそも恥ずかしい存在なの?」
「何を今更」
「辛い」
「良かったな」
「なにがよ!」
「辛いのがスタンダードって知れて良かったね」
「……君の声が辛い」
2/15/2025, 11:28:28 AM