雪
雪が白で良かった。もし黒だったらと思うと目を覆いたくなる。
「東海道五十三次 蒲原 夜之雪」。深々と夜の村に降り積もる雪。静岡の蒲原に、豪雪の可能性は低い。だが、村人とその足跡を見ると、物語が確かにあると感じられる。広重が謎で魅了してくる。
浮世絵は和紙だ。絵師は、和紙の肌地で白を見せることがある。つまり、雪の白も月の白も和紙の白なのだ。もし雪が黒だったら……。
いや、北斎も広重も春信も、それでも僕たちを魅了する術を見つけてくれたはず。
1/8/2024, 1:55:39 AM