「雪明かりの夜」
暗い夜、冷えた指先、静かな帰り道。全部、僕にとってはずっと当然の毎日だった。
でも真っ暗な僕の世界に、ある日君がやって来て、僕はちょっと変わってしまったみたい。君が隣にいて、夜が眩しくて、手は君の暖かさに包まれて、控えめに笑う君の声がそばに残る。雪明かりで見えた君の鼻先が少し赤い。
今は、分かる。暗くても、明るくても、どんな夜も当然じゃなかったこと。僕が歩く夜が明るいのは、雪明かりのおかげなんじゃなくて、君が光のある方へ連れて行ってくれるからなのかもしれない。こんなことを考えているから、僕はまた難しい顔をしていたんだろう。心配した君が僕の顔を覗き込む。
「なんでもないよ」
僕と君の息が、白く雪の中にほどけた。
12/26/2025, 11:53:36 AM