うみ

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此処は小さな喫茶店
今日は可愛いお婆さんがご来店してくれました。

「お紅茶を2杯くれるかい?」

「かしこまりました。」

お婆さんは1人で来ているのに、
何故2杯なのだろうか、
そんなことを考えながら紅茶を淹れていると
その答えはすぐに分かった。

「実は先日、
お爺さんが亡くなってしまいまして…。
お爺さんはお紅茶が大好きだったんです、
特にお紅茶の香りが好きらしくて、
だから私の分とお爺さんの分で2人分、
1杯残してしまうことを、どうかお許し下さい。」

可愛いお婆さんは丁寧にそう説明した。
紅茶を淹れている間、
店内にはジャズの音色だけが響き渡っていた。


「こちら、お紅茶でございます。」





「………とても、いい香りですね。」

10/27/2023, 10:07:10 AM