小学生の頃、親から「あんたは糸の切れた風船だ」とよく言われていた。知らないうちにどこかへふらふら行ってしまうからだそうで、良い気持ちはしなかった。しなかったけど、笑ってやり過ごしていた。
どうしてどこかへ行ってしまうのか考えたりはしないのかな、とは思った。家にいてもつまらないし、世の中には自分が知らないだけで楽しいことがたくさんあるのだと思っていた。自分以外の外の人はみんなそれを知っているんだって気がしていた。でも、どうやってそれを知ったらいいのかはわからなかった。
だからいつも安全ぽい範囲をぐるぐるして、今にして思えばふらふらしていた。小学生の行動範囲なんて大したことないんだから、そんなに楽しいことが転がっているわけもない。
そういうとき、いつも自分が空っぽな気がして、すうすうした。でも、その分身体が軽かったような気もした。
どうせなら風船じゃなくて鳥に例えてくれればよかったのに。どうせ家には帰ってくるんだからさ。鳩じゃん。
「鳥のように」
8/21/2023, 11:10:42 AM