黒いかぎシッポのうた

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誰でも人生のうちで、一度や二度、死にそうになったことはあると思う。わたしは、はしかのワクチン接種後に、その副反応で生死をさまよったらしい。

「覚悟しておいてください」と、医者から言われた母は、「どんなことがあっても死なせない」と、わたしを一晩中抱きしめていた、と言う。

ただ、悪夢を何度も見る。母にぎゅうーっと抱きしめられて、喉が乾いてカラカラで声も出ず、母親から逃れようとして暴れれば暴れるほど母親がぎゅうーっと抱きしめてくるという夢。それが現実に起こった事だったかもしれない。

きっと、そこから逃れられたら、その時はわたしは死ぬ時なんだと思う。



その次は、アレルギーショックで救急車で運ばれた。このときは、順番から言うと、最初に呂律が回らなくなる、肺が固くなる感覚があって息が吸えなくなる、心臓が縮む感覚があって、手足が麻痺して動かなくなる、脳がキューっと痺れてくる、視界がだんだん白くなって見えなくなってくる、『寒い、死ぬかもな』と思う。

死ぬ瞬間までを鮮明に覚えていようと、脳はそれを記録しようとするもんなんだと思う。

あとは、気管支喘息の発作が前よりは随分回数が少なくなって来たし、時期も限定されては来たけど、やっぱりこの発作は一生続くんだと思う。オトモダチだ。今日も足の裏が地球に着いている、このことが有り難い。


母親の胎内に居る時から、今の今まで、死ぬ瞬間までを脳は記録しようとしてる。
子供にとって、父親母親含め大人達の言動は、一番大切な部分に全て記録されていて生き方の光となったり影となったりしている。

子供の目や耳は、神様に通じているんだと思う。幼ければ幼いほど、心と脳が近い気がする。だから大人は、大人になるほど恐れた方がいい。

いつでも飛び立てるのは子供で、大人じゃない。


8/22/2025, 8:37:17 AM