Luca

Open App

汗がはじける。
どれだけ走ったか思い出せない。

目的地なんてない。でも目的は明確にある。
ただひたすらに高みを目指して。
敵に、自分に負けないように、もっと強くなるために。
自分の限界を認めないために。

毎日朝から晩までグラウンドを駆けずり回ることができたあの頃の自分とは違う。お金を払って勉強する毎日ではなく、お金をもらいながら社会を回すそんな歯車のような自分。そんな自分が嫌いではないが、絶対に譲れない芯が自分には残っていた。
ジムでは何か違う、マラソンを走っても何か違う。
求めているものは負荷ではない、距離でもない、ただ自分の目的に向けた血肉のみ。

より速い球を投げられるように、相手をねじ伏せられるように、ただ相方のミットに白球を届けられるように。
太陽はとっくに眠り、若い月が薄ぼんやりと照らす公園の中を隅から隅まで全力で駆け抜ける。
ジョギングしている男性に、1日の終わりに至福の時間を送っている高校生たちに奇異な目を向けられるが気にしない。

今この時だけは子供のように、がむしゃらに駆け抜ける。
自分が誇れる自分であるために。

10/13/2023, 1:51:00 PM