花珠

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【些細なことでも】

ガタンゴトン。はァー。カタカタ。ガサガサ。
電車の音。誰かのため息。スマホから鳴るキーボード。身じろきして擦れた衣服の音。その全てが私の神経を逆撫でする。
世の中、無音な空間は自然には存在しない。ただみんな、生まれた頃からの境遇に慣れきって、気にしなくなるだけ。
私には、そんな普通の、みんなからすれば些細な音が気になって仕方がないのだ。耳が良すぎて音を拾いすぎるのか、それとも神経質すぎるからなのか。他の人の聞こえた方など分からないので、生まれて17年、悩みは解決することなく、私の神経は常にすり減るばかりであった。
日頃はお金をかけたイヤホンを着用しているのだが、私の苦しみをお年頃ならではの「五感が鋭い俺かっこいい」の症状だとでも思っているであろう姉が取っていってしまった。何に使うのかは知らないが、朝準備している時に「ごめんー!今日イヤホン借りるわ!」と言って、返事をする間もなく家から出ていってしまった。
...もうどうしようもないことを嘆いたって仕方がないし、そんなことに疲れを感じる余裕は今の私にはない。
あと二駅。頭の中はズキズキと言えばいいのか、ぐるぐると言えばいいのか、強いて言うならばその両方の痛みが蔓延している。

...誰かにとっての些細な物事は、誰かにとって、大きな影響を与えるものである可能性があるってことを、姉を筆頭にたくさんの人に理解して欲しいものだ。

9/3/2023, 11:44:01 PM