テツオ

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人を選ぶ内容

ハアハア、ミコちゃんはいきをする。
くりくり、ふたつのめ。
ピコピコ、ふたつのみみ。
まにょまにょ、ほっぺた。
ミコちゃんはわらった。

「かわいいね、なんさい?」

ミコちゃんのおかあさんはミコちゃんの手をさっとつつんで、ミコちゃんのよくわからないうちに、おかあさんはミコちゃんの手でなにかつくって、そしたらおねえさんは「よんさい!」とゆってわらった。
ミコちゃんのおかあさんもクスクス。

肩を揺らすと、ミコちゃんの鼻はプスーッと赤くなって、「ママーッ!!」叫び、涙も出ないうちに泣き声を上げた。
可愛く結われた髪の毛を撫でると、ツルツル、サラサラ。さすがに毛根も強く多少指が引っかかっても一本すら抜けなかった。

「ミコちゃん、ミコちゃん。ミコちゃん。遊園地、すき?」

ミコちゃんは更に泣いた。

ミコちゃんはゆめ。
ゆめってなに?ミコちゃんのおかあさんは、ミコちゃんのおはなしをゆめってときどきいう。
すぴーすぴーしてるときに、みるものだよ。おとうさんはいった。
でも、すぴーすぴーってなに?
ミコちゃんはなに?をたくさんしってるよ。

「ミコちゃんだよね」

ミコちゃんはもうふからでて、おじさんのおかおをみた。

ミコちゃんのお母さんは買い物へ出ていた。
もうすぐ戻るかもしれない。

「ミコちゃん、行こう。行こう」
「ギャーッ!」
「ほら、こちょこちょ〜」

ミコちゃんは笑ってくれたが、泣いている。
ほんとに嫌がってる笑い方だった。
ミコちゃんを抱えて、とりあえず、毛布と、そこに落ちてたぬいぐるみも一緒にミコちゃんを抱き上げる。

「痛いよ痛い痛い。痛い」

ミコちゃんは耳を引っ張ったり、首をひっかいたり、とにかく暴れた。
小さいとは言っても、力の加減を知らないので……いや、うーん。ほんとの痛みを知らないから、これくらいの子から出る抵抗は、とても痛い。

ミコちゃんはぬいぐるみいや。
ミコちゃんはおにんぎょうがすき。
ぬいぐるみはやだ。
おかあさん、どこだろう。このひとだれだろう。ミコちゃん、ぬいぐるみいやなんだよっておかあさんがゆってー!

窓からミコちゃんを連れ出した。
鍵がかかっていなかったので、侵入は簡単だった。
ミコちゃんはすぐ帰すつもり。
ちょっと遊びたいだけ。大晦日を越すまではとりあえず一緒にいたい。
ミコちゃんをトランクにいれた。

ごめんなさい。
冬は一緒に

12/18/2023, 11:38:32 AM