未だ名前はない。

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目が覚めると懐かしい匂いがした。

母親が作ってくれる朝ごはんの匂いだ。

連日の残業でだるくつらい身体を起こし、寝室を出る。

そこには誰もいない。
そりゃそうだ、と写真立ての中で笑う母親に視線を移す。


「「朝ごはんはきちんと食べなきゃだめよ。」」

うっとうしいくらいに聞いていたあの言葉。


あーあ、また怒られちゃったよ。
「ほんと、お節介な人だ。」

そう思いながら台所に立つ朝の6時。

7/10/2023, 10:49:02 AM