かたいなか

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前回投稿分から続くかもしれないおはなし。
最近最近のおはなしです。
冬真っ盛りの都内某所、某アパートに、藤森という雪国出身者が、ぼっちで住んでおりました。

「ゆきぃ?」
「雪昆布と言います」
「ほんとに、ホントに、ゆき……?」
「細かく、小さく削った昆布です。
口に入れると雪のように溶けます」

「キツネこっちがいい」
「コラそのままは塩分が多過ぎるから待ちなさい」

今日は、その藤森の部屋に、お客様が2人と1匹、
別の世界から来たお嬢さんがた2名と、
近所の稲荷神社から来た子狐です。

なんでもお嬢さんのうちのひとりの、大事に大事に使役しておった機械式ゴーレムが、
お嬢さんがたの同僚に、ドチャクソかっこよく、もといバチクソオーバースペックに、
超改造、大合体、スーパーチューンされまして、
それを、子狐のおじいちゃんに、再調整してもらいにやって来たのだとか。

「で、その、再調整? それが終わったのであれば、もうこっちの世界に、用事は無いのでは?」
藤森がお嬢さんがたに聞きました。
「だって、藤森さんとこ、ごはんあるもん」
お嬢さんの内のひとり、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織に勤めておるドワーフホトが、
ぺたぺた、ぽてぽて、
藤森が握ったおにぎりを合体させて、言いました。

「雪だるま! これに、雪こんぶ。
うーん。かわい〜」
「はぁ」
「いただきまぁす」

カジカジカジ、かじかじかじ。
藤森とドワーフホトの会話の外では、子狐が大きなおおきな、まるで薪板のような乾燥昆布の、
1枚に牙を突き立てて、幸福そうに噛んでいます。
肉厚の昆布は固くて、かじるのに丁度良いのです。

じゃかじゃかじゃか、シャカシャカシャカ。
子狐の昆布タイムの奥では、子狐のおじいちゃんが再調整したというゴーレムロボ、「テキサスロングホーン」が、
主人たちの使った食器をキレイに、丁寧に洗浄中。
もともと事務作業のお手伝いゴーレムだったそうで、細かい仕事は得意なのだそうです。

「……それにしたって、その、ツノが」
「これでもねー、コンちゃんのおじいちゃんに、縮めてもらった方なのぉ」

「これで?」
「うん。コレで〜」

「……『コレ』で?」
「そう。コレで〜。
だいじょうぶ。ちゃんと、もっと引っ込むからぁ」

にしても、削り昆布、おもしろいねぇ。
ドワーフホトは、おにぎり雪だるまの熱と水分で踊る雪昆布を観察して、上機嫌。
かつお節みたいだと、ポツリ言いました。

その隣ではゴーレムロボの主人、
同じく世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織に勤めておる「クラブカーフ」、
もといテキサストルネードが、
何かあったのか、えうえう泣きながら、
ちゅるちゅる雪昆布の温かいお吸い物を、美味しそうに堪能しています。

「藤森さん、おにぎりおかわりぃ。
もっと大きく握ってほしい〜」
「わりと大きく握った方ですよ?」
「もっと。もっとー」

ゆ〜きだ〜るま! ゆ〜きだ〜るま!
藤森の部屋のお客人は、雪だるまが大好きな様子。
始終、幸福に、おにぎりの雪だるまに削り昆布の雪を降らせておったとさ。

1/8/2026, 9:54:00 AM