『香水』
17の時に、初めてお付き合いしたあの娘がくれた誕生日のプレゼント。
フィルムケースほどの大きさの藍色ベロアの小さな小箱。
その中には、小さな小さな香水の瓶
「お金が無くて、試供品でごめんね」とあの娘は言っていた。
あまりおしゃれを気にしない私が、絶対に自分で買わないし、選ばないだろう一品。
自分とは違う環境で育ったあの娘が選んだプレゼントだからこそ、私の手元に迷い込んできたジャンルの品。
だからこそ、私の中では珍品となり、
二十数年経った今でも
使い終わった小瓶を捨てられずに持っている。
もう、小瓶の中は、
ほぼ空っぽなのに
蓋を外すと
とてもいい想い出の香りが残っている。
目を瞑ると
若かりし自分とあの娘の姿
あの夏の思い出が蘇る。
今
だから思う。
本当に良いプレゼントをもらったんだなと。
8/31/2024, 5:26:22 AM