まりあんぬ

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「あなたもお母様のように、強い女性になっていくわ」

黒い建物に囲まれた路地の、まるで絵本に出てくる格子の窓から、外の世界を覗いてみると、月の光がテセレーションの石のタイルに残った雨粒に反射していた

珍しくお茶をひいて、人影も、風すらないドビュッシーな夜に
もうすぐ70を迎えるママと20を迎えたばかりの私

「母は私から解放されたくて上京させたんです」

なんて言葉を緋緞と飲み込んで

「母は第二の人生を楽しんでいて...
たまには思い出して欲しいんですよね」とお道化た私を
真っ直ぐ見つめると、曲がった背中を叩いた

「ご自分の子育てとあなた自身を心から信じているのね」

お店の中の古時計が2時を告げると、魔法が解けたみたいに
きれいなママに戻っていた


『こどものように』

10/13/2022, 12:40:05 PM