宝物
俺は、昔からどうしようもない性格だったらしい。母や叔母から聞かされるのは、俺の悪い噂ばかり。毎日家族の誰かしらと喧嘩していて、休めるところなんてなかった。家族はみんなして俺のことが嫌いで、せめて物思いで学校では猫を被っていた。
誰からも好かれる優等生。成績優秀、爽やかイケメン。誰にでも優しいなんでもそつなくこなす人。俺は、みんなからそう思われている。クールで居たいが為に。友達なんてものは作らない。良くも悪くも頑固者。そんな反抗期真っ只中の時にでてきた作文。テーマは「わたしの、ぼくのたからもの」家に帰って、宝物について考える。俺の宝物ってなんだろう、と幼い頭で考えた記憶がある。キラキラ光る宝石のような石、四つ葉のクローバー、あとはあとは、、、。
なぜか、その後の記憶はない。けど、題名だけ書いてまっさらな作文用紙を見たおばあちゃんが、ヒントをくれた覚えがある。
「今、宝物がなくても、いつかはきっと見つかるよ。おばあちゃん、あんたが宝物見つけるまで逝かないから。」
逝かないから、の意味を理解していた訳では無いけど、その言葉だけ鮮明に覚えている。いつも俺の悪口ばかり言っているおばあちゃんが、あの時だけ嫌に優しかった。
そんな俺も、高校を卒業して大学に入り、そして20歳を迎えた。あのバカにされていた俺が、大人になって大切な宝物が出来ました。健気に宝物について考えて、答えが出ないまま泣き寝入り。その繰り返しをしていた俺が、大人になった。今も、実感がわかない。
ブルブルと震える携帯。待ち合わせの場所に着く。そこには、ニコニコと楽しそうにこちらに手を振る友達4人が。
俺にとっての1番の宝物というのは、友という事に、20年生きてやっと分かった。
_____宝物がやっと見つかりました。安心して眠ってね、おばあちゃん。
作者のあとがき
今日は何故かスランプ気味で、文章がかなり散らばってしまいました。大変読みにくいと思いますが、ぜひ呼んでくれると嬉しいです。
11/21/2022, 7:30:00 AM