ことり、

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旅路の果てに



そいつ

冷蔵庫の片隅で痛んでる
けたたましい2割引きシールのチリソース瓶
その鬱屈(うっくつ)を
古(いにしえ)の教室 
机に名札のピンで刻ませたら
「そいつ」は確かににやりと笑った

好きでも嫌いでもなかった
お土産のクッキー缶
古ぼけた蓋で
小学生らしい我が儘を押し込めた
(マティス ダリ 太郎 ヘリング)
誰に出す宛ても無い美術展の絵葉書の
静謐(せいひつ)な引き出しに
あの日見た瑠璃色の髪切虫の遺骸(いがい)を忍ばせる

給食袋 割烹着 アイロンがけ
かけっこ2等賞 青リボン
女の子同士守る ブルマ白線
ご飯の日の牛乳 違和感も一飲み

アプリで見るスーパーの2色チラシ
ベランダ プランター 育つ青ネギ
2日目の唐揚げ 酢豚へリメイク

私の中にいる「そいつ」
守っているようで守られて
救っているようで救われて

人生が旅なら、
「そいつ」はきっと 
草臥(くたび)れたブーツなのだろう
書き込みの多い地図なのだろう
調子の悪いランプなのだろう
よく切れるナイフなのだろう


1/31/2024, 1:26:59 PM