「.........」
「真人(まひと)クンは今でもカレー🍛好きなんだネ!」
ふんふん、とテーブルを挟んで向かいに座り、顔に両手を添えてこちらを見るのは高校の時に事故で死んだはずの陽太(ひなた)。なんでこうなってるか?俺も知らん。
確実に言えることは、陽太はこの大学に入学してない。
俺はカレーを食べる手を止め、目の前に座るやつに話しかける。
「...俺の知る陽太は、高校の時に死んだ。ボロが出る前に止めておくのがいいと思う」
「んー、俺は真人の知ってる陽太なんだけどなー......あ!俺の知ってる真人の話すればいいのか!」
「は?」
なんか凄い目を輝かせている。
...嫌な予感が。
「んーとね、真人は全然モテなかったよね。俺が告白された時断るーって話してたら『半分俺にわけろ』って言ってたよね!あと適当に彼女作れって言ってたのも覚えてるよ~あとは」
そこまで言って俺は陽太の口を塞いだ。これ以上いい話が聞ける気がしない。そしてコイツは陽太だ。
「もういい。陽太なのはわかった」
「ふふ!むふふもふもも!」
「でも陽太は死んだだろ」
ぴたり、と陽太は動きを止める。
俺だって考えたくはなかった。あの夏の、交差点の、血飛沫を。
「陽太は......死んだんだ」
俺に夢を見せないでくれ。
「.........真人!」
いつの間にか俺の手は退かされ、陽太が何かを誇るように話す。
「この陽太クンは期間限定で蘇ったのだ!これから一年間しかないけど...よろしくな真人!」
そう言って彼は笑っていた。
おい、情報少なすぎるだろ。
お題 「向かい合わせ」
出演 真人 陽太
8/26/2024, 9:59:08 AM