「……ただいま」
「おかえり」
「うん」
「……おいで」
「……ん」
疲れきった表情で帰宅した𓏸𓏸を、玄関でぎゅっと抱きしめる。いつもなら恥ずかしそうに抱きついてくるのに、今日は項垂れるかの如くぐったりとしている。
「お疲れ様」
「……ん」
「お風呂湧いてるから、入っておいで」
「……ん」
拙い足取りで脱衣所へ向かう𓏸𓏸が今にも倒れそうで、支えて一旦ソファに座らせる。
「何あったん」
「……なんも無い」
「……そか」
言って欲しい、けれど無理に言わせるのも違う気がして引き下がる。濡れたタオルで体を拭いてあげようと立ち上がろうとすると、𓏸𓏸に服を軽く引っ張られた。しゃがんで目線を合わせる。
「……つまらん事やけど」
「うん」
「……ちょっと、嫌なことあった」
「そっか、言ってくれてありがと」
「……うん」
たまには沢山甘えて、1日丸々ゆっくりと休んで欲しい。無理だと分かっていても願うくらいならしてもいいだろう。
「何でも言ってな。食べたお菓子の事でもいいから」
「……ふっ、なんそれ」
少し笑ってくれた𓏸𓏸が可愛くて思わず頭を撫でた。
『つまらないことでも』
8/4/2024, 10:41:59 AM