とある恋人たちの日常。

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「ん、まぶし……」
 
 お店から出ると燦々とと降り注ぐ太陽の光に手をあげて影を作りながら目を細めた。
 
 これは目が慣れるまで時間がかかりそう。
 
 私はさっきまで暗いお店にいた。お店のコンセプト的に明るくするのはイメージ似合わないからだ。
 そんなお店に長い時間いた。
 待ち合わせしていた彼が到着したと連絡があったからお店の外に出た結果、太陽の光に目が負けてしまったのだ。
 
「大丈夫?」
「んー、まぶしい……」
 
 彼の方が私を見つけてくれて、声をかけてくれる。すると顔を覆って影を作っている手ではない方の手を取って、優しく引っ張ってくれた。
 
「ゆっくり動くけれど気をつけてね」
「ありがとうございます」
 
 彼の手に引かれて、日陰に入る。
 
 外側から来る光は眩いけれど、時間をかけてゆっくりと目が慣れて、大好きな彼の顔がはっきり見えた。
 
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
 
 心配そうに見てくる彼は優しくて、私にとっては太陽みたいな人。
 
 やっぱり目を細めて口角が上がる。自然と笑顔になってしまった。
 
「ん? どうしたの?」
 
 ふふっと笑いが込み上げてくる。
 太陽から逃げたのに、私の太陽がそばにいる。
 
 どっちもまぶしい。
 
 
 
おわり
 
 
 
二五八、日陰

1/29/2025, 1:47:22 PM