あの夢のつづきを
小学生の頃、怖い夢を見た。
私の部屋にはドアが2つあり、いつも使っている出入り口ではなく、私のベッドの横にあったドアを開けると、居間と、その先の両親の寝室の両方に行ける長い廊下があった。
ある夜、ふと目が覚めるとベッドの脇の普段開けないドアが開いていた。すると、廊下の一番あっちの端に、派手な化粧と衣装の、京劇の人形が三体並んでいた。薄暗い廊下の端に、等身大で頭の大きな人形はあまりにも不釣り合いで怖く、すぐにドアを閉めて見なかったことにした。実はそれは夢だった。明るくなってから確認したが、もちろん、そんな人形たちは無かった。
目が覚めても鮮やかに思い出すその人形たちは、あまりにもインパクトがあったので、次の日の就寝時に、ついそれを思い出したのがいけなかったのだろう。その晩、目が覚めると、またドアが開いていて、やはり昨日と同じ人形たちが居た。前の日と違っていたのは、人形たちが廊下の半分ぐらい、こちら側に移動していたこと。私は悲鳴をあげてドアを閉めた。という夢。
3日目、嫌な予感がするが、とりあえず就寝したらまた夢を見た。今回はドアが閉まっていた。「ああよかった」と思ったが、気になってしょうがない。あの人形たちはまだ居るのかな?好奇心に負けて、私はドアをそぉっと開けてみた。
すると、開けてすぐのところに三体とも居たのだ。昨日は半分のところに居たのに、今日はここまで来たの?きらびやかな衣装と派手な化粧を施しているのに無表情な三体は、本当に怖かった。ひぇーっと声にならない声を上げて私はドアを閉めた。
たったそれだけの夢なんだが、3日続けて見た彼らの夢は、何十年も経った今でも鮮烈な思い出だ。私はあの夢のつづきを・・・決して見たくない。
1/13/2025, 7:02:22 AM