天界は今年も異常な高温に見舞われたそうで。
去年のような酷い暑さ―摂氏100℃超―をどうにかする為に、人間界のエアコンを真似て、天界製の超特大エアコンを設置したそうだ。
天界中の熱気を吸って、代わりに涼しく心地よい風を吐き出す天界製超特大エアコンのお陰で、天界は快適な温度となった。
「だから外界がこんなに暑くなっちゃってる、ってわけ」
ブルーハワイのシロップがかかったかき氷をシャクシャクと食べながら、気怠げに言う自称神様。
どうやら室外機的な物体が誤って人間界の方に露出してしまっているらしく、現在、天界総出で露出部分の穴埋め作業中とのこと。
「……何日くらいで終わりそうです?」
言いたいことは山程有るが、何とか堪えて自称神様に尋ねた。
「ウ~ン、だいたい半月くらいかなぁ?今、ちょっと天使が減っててねぇ、天使手が足りないんだよねー」
天使手って何だよ、と口から出そうになったがグッと喉の奥に引っ込め。
「その熱気って、本来なら何処に行く予定だったんですか?」
ふ、と疑問に思ったことを聞けば、自称神様は溶けて青い氷水になりかけたかき氷を行儀悪く啜ってから言った。
「よくわかんないや。 そういう難しいことは補佐役に全部任せてるからさ」
「こいつ!」と無性に腹が立つのだか後が怖いので、握りしめた拳をテーブルの下で必死に抑えながら深呼吸を繰り返す。
「あ、また暫く家に泊めてくれない?」
テーマ「神様だけが知っている」
7/5/2024, 1:16:10 AM