四椛 睡

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 小さな頃、夜空へ向かって必死に祈っていた。なんの変哲もないランプを擦ってみたり、誕生日ケーキの蝋燭を真剣に心を込めて吹き消したり。そうやって願いが叶うと信じていた純粋で幼い私。

 今では、随分と遠くまで来てしまったなぁ……と思う。積み上げられた札束を数える眼前の男を眺めながら。そして、願いを買う女を客観視しながら。ひっそりと溜息。

7/8/2025, 8:54:43 AM