太陽が水平線から顔を出した。
彼女の顔が陽光に照らされて眩しい。
そうでなくても、あなたは眩しいのに。
「カナコは、どうしたい?」
彼女は聞くけど、そんなの決まってる。
「あなたにまかせるわ」
分かった、と彼女は上機嫌そうに頷く。
「じゃあ私、オーディション、受けるわ」
あなたの分まで、頑張るから。
彼女は声高々に言った。
私には……おそらく彼女にも、未来は見えていた。
彼女は、すぐさま脚光を浴びて有名な女優になる。
怪我で主演辞退を余儀なくされた私を見捨てて。
未来は、見えていた。
だから……
お願い。
もうこれ以上、眩しくならないで。
彼女の背中を、ありったけの憎しみを込めて前に押し出した。
1/3/2024, 12:31:36 PM