共存と両立

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 ふとした瞬間、私の魂が死にたいと叫ぶ。
 私よりも辛い人は、この世に沢山いるんだから。そう言って、私は私の心を殺してきた。
 けれど、その魂の声は、ある日外に盛れ出した。
 ああ、漏れてしまった。私は泣きながら、冷静にそう思っていた。
 ただ、この時私は、まだ生きていた。
 私の心は、私に傷つけられたところで死んでいなかった。
 私が辛いことを、私自身、何よりも理解していた。
 本当は生きたかったからこそ、私は私の心を押さえつけていた。

 だから、私に止めを刺したのは、他人の些細な言葉。
「みんな辛いんだから」
 そんな、分かりきった言葉。

 彼が、彼女が、その言葉を使うのは、私を生かすためだろうか。

 否。

 私はそこで生き延びたとして、共に生きたいとは思わない。
 私は彼等の言葉に感謝などしない。
 私の心を殺していいのは私だけのはずだ。

 ならば、彼等の言葉の、なんと身勝手なこと。
 彼等もそうやって、自分の心を殺してきたのだろう。しかし考えが足りない。心を殺した事実を忘れ、それによって生き延びたことだけ、覚えているのだろうか。だから、他人の心を殺すことも正義と勘違いしたのだろうか。

 そうやって、無自覚に、人の心を踏みにじる愚者に成り下がった。

 私の魂は、今も、死にたいと叫んでいる。
 けれど私は生きている。
 溢れだしそうな涙は隠し通す。私の心を守るために。
 その涙を、ただ拭いてくれる存在がいる人を、羨みながら。

 私より辛い人には、涙を拭ってくれる人が、傍にいる。

 誰にも弱音を見せられなくなった私には、誰もいない。

 死にたいと叫ぶ私に、それでも生きたいのだと言い返すだけ。

 生きたい理由は分からない。
 ただ、生きなければいけないとは、もう思わない。

 いつか、私の孤独を癒してくれる人に、会ってみたい。触れてみたい。その温かさを、感じてみたい。

 それは、死にたい理由より、小さくて、儚い願いだ。
 そんな存在はいないと、言い捨てた方が楽だ。
 なのに、この広い宇宙で、それを証明出来ない。

 誰も、証明できない。

 それを証明するより先に、詐欺師の本性が暴かれ、社会から追われる方が早いだろう。

 死にたいと叫ぶ。

 死にたいなら死ねばいいと、人は言うだろう。

 死ぬ勇気を持つことは、そんなに簡単なことでは無い。
 ただ、他人の言葉が、容赦なく背中を押す。

 欲しくもない勇気を貰ってしまう。

 勇気なんて欲しくない。
 強くなんてなりたくない。

 私はただ、私の弱い心を、誰かに優しく撫でて欲しいだけ。

 ただ、それだけ。

 温かさを感じることが出来るのは、生きている時だけなのだから。

 

 

 
 


 


 

 

4/28/2024, 8:37:45 PM