緋夜莉

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少し前までは、桜が満開だったのにな。
そう思いながら、二人で歩いた道を今は一人で歩く。

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「桜のこと、空に知られぬ雪って言うらしいよ」
彼女に言われて、桜を見上げる。
「確かに雪に見えなくもないよね〜」
「そうだね」
「あ、じゃあ、またね」
「うん」
彼女とは、この交差点で別れていた。
そして、僕は彼女の後ろ姿を見送ってから帰っていた。
しかし、あの日は違った。
彼女と別れて、すぐに帰り路の方向を向いた。
キキーッ
後ろで急ブレーキを切るような音と、何かがぶつかる音がする。
振り向くと、車が彼女にぶつかっていた。
ピンクと赤が彼女を包んだ。

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あの日から、僕は独りだ。
彼女以外に恋人を作るつもりはない。

…桜が散る中に、彼女が見えた。

4/17/2024, 12:29:26 PM