#8 夜の海夜の海は怖いなんて君は言うけれど、僕は好きだ。君と見る、満月が揺蕩う深夜の海は格別だった。月のような優しい笑顔の君も美しかった。__もう、見ることは叶わないけれど。ゆっくりと、海水に浸かる。深い深い藍色の海に、自分が溶けていくような感覚がする。あの日と同じように、月光が優しく僕を包み、潮風が頬を撫でる。冷たい。「今、そっちに行くから」僕はそっと目を閉じて、波打つ海に身を委ねた。
8/15/2024, 11:42:45 AM