「うおおおおおお!」
「…そんなに凄い?」
ゆっくり話したいから、ムンを公園に連れてきた。すると遊具を見てムン(20)が叫び出した。
「こっちの世界の公園ってこんなカラフルでつるつるなの?遊園地じゃんこれ」
「確かによくできてるよね」
遊んでくる!と彼女はダッシュして行ってしまった。
「あ、ちょっと!」
これが保護者の気分か…。
ベンチにいてもすることがないのでとぼとぼ着いていく。
「これ何!?」
「鉄棒だね、持って回ったりするやつ」
「これは?」
「ブランコ。上乗って揺れる」
「なななにこの幾何学的な遊具」
「ジャングルジムだね」
うおーすごい!木登りしてるみたいで楽しい!とはしゃぐムン(20)。
「私達、木登りなんて絶対できなかったじゃん」
脈絡なくそんな事を言ってきた。
「ああ、よく言われたな、『木に登るなんて…はしたない』」
…そうか、ムンは今特殊過ぎた幼少期をやり直しているのかもしれない。思えば彼女はずっと自由を希求して見えた。
北からの風で、彼女の白い服がはためく。
肺は風を食んだ。
9/23/2024, 11:07:58 PM