百加

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空が泣く


 君は来ない。それが答えだね。
 軽く息を吐けば、少し汚れたスニーカーのつま先が視界に入る。

 もう行こう。
 リュックを背負い直した時、ぽつんぽつんと雫が落ちて、足元のコンクリートの舗装に黒っぽい染みを作った。
「天気雨かな……」
 そっと呟いて、パーカーのフードを深く被る。
 人々が行き交う陽の当たる歩道で。



#29

9/16/2023, 4:17:32 PM