お題 / 秘密の標本
タイトル / 1番綺麗な物
※ちょいホラー
とある大きな「ホオズキ」という名の貴族の屋敷があった。
その屋敷には、小学生くらいの男の子が住んでいて、僕はよくその男の子と遊んでいた。
ある日、男の子が屋敷で遊ぼうと誘ってくれた。元々屋敷が少し気になっていたのもあって喜んで誘いに乗った。
屋敷に入るとまず玄関の広さに驚かされる。そのあともどこを見ても広く、装飾も綺麗でまるで別世界に来たようなどこかそんな高揚感が湧いてくる。男の子の部屋に案内され、遊んでいるとふと、男の子がこんな話をしてくれた。
「実はこの家には絶対に入っちゃいけない開かずの部屋があるんだ!」と。
続けて男の子は「一緒に行ってみない!?」と驚きの提案をしてきた。
でも、もしバレてしまったら怒られるだろうなとか、人の、ましてや自分よりも身分の高い人達の家でそんな無礼な行動をしても良いのかと、そう思うのに、なのに、どうしようもない探究心がその考えを消そうとする。
まるでこれから冒険でも始まるかのようなワクワクと緊張感が気がつけば僕を動かしていた。
そして今、僕と男の子は例の開かずの部屋の前にいる。
言われた通り、部屋の扉はビクとも…
「ガチャッ」
「へ…?あれ、開い、た…?」
開かずの部屋と言うからにはビクともしないのだろうと思っていたらいとも簡単に開いてしまった。なんだか興ざめしてしまった僕は男の子と部屋に戻ろうとしたところ、男の子は居なくなっていた。
「あれ?アニスくん?」
どこへ…
「こっちだよ!」
声は開かずの部屋の扉の奥から聞こえてきた。
「お兄ちゃんもおいでよ!」
「…入っていいの?」
『面白い本があるんだ!』
…一瞬、一瞬の気の迷いで僕は開かずの部屋へ入った。いや、入ってしまった。
部屋には無造作に積まれた標本に関する本や、立てかけられた標本がいくつもあった。最近標本に興味があり、いい機会だから参考程度に、と近くにあった本を開いた。すると、「お兄ちゃん、これ僕が作ったんだ!みてよ!」と男の子が1つ小さめのケースを手渡してきた。受け取るとその瞬間、激しい痛みが僕を襲った。そこで僕の記憶は途絶えている。
目が覚めると、体の周りには針が刺さっており服も一緒に刺さっているみたいだった。
「あ、起きた?」
「スオウギさん。」
突然大きな何かが現れたかと思えばそれはアニスくんだった。
「アニス、くん…?」
どうして名前で呼んだんだ…?いや、そんなことよりどうしてアニスくんが…
「…いきなり周りに針が沢山あれば、混乱しちゃうのも当然だよね。でも大丈夫だよ。これからもっと…」
「は…?」
「あれ?違った?あ、もしかして体が小さくなったこと?ちょっと元の大きさじゃ入らないから小さくしちゃった。」
「は…?アニスくん、さっきからちょっとおかしいよ。どうしちゃったの…?」
「どこがおかしいの?…それに、僕はアニスじゃないよ」
「どういう…」
「んー…ホオズキ家の本物はもう全員標本にしちゃったから。」
「僕ね、世界で1番綺麗なものは、僕の大好きで大切なものを集めた本だと思うんだ!ましてやそれが絵じゃなく本物だとしたらとてつもなく綺麗だと思わない??」
そういうとアニスくんは針を手に取り「だからスオウギさんも今、綺麗にしてあげるからね!」そう言って僕の胸元に針を刺した。
もう、そこからは意識も記憶も何もかもない。ただ、最後微かにあいつの笑った顔が見えた気がした。
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ホオズキ アニス/ 名前の意味
ホオズキの花言葉は、「偽り」
アニスの花言葉は、「人を騙す」
スオウギ / 名前の意味
スオウギ(蘇芳木)はハナズオウの別名で花言葉は、「裏切りのもたらす死」
誤字脱字があったらすみません。
11/2/2025, 11:31:06 AM