"こんな夢を見た"
「俺さぁ、ずっとこうしたかったんだよね。
だって、ずるいじゃん。
たかが血の繋がりがあるってだけで無条件にお前に愛されるのって」
手元の鈍色をクルンと回す。
目の前に散らばる肉片の群れ。
赤く、白く、黒く。鉄の匂いと悪臭を撒き散らす塊。
こんなものがあの子を苛んでいたのか、と思うと、ひどく虚しかった。
あの子はきっと喜ばない。
家族だから、と泣いていたあの子は復讐なんて望んでいなかった。
でも、いいだろう?
復讐なんて生者の特権だ。
葬式みたいに、生きている者がおこなうセレモニー。
俺が俺のために成し遂げて何が悪い。
左手の手袋を外し、薬指に嵌った指輪を見つめる。
月光に照らされてぬめるような輝きを放つ白い輪は、あの子の骨から作り出した物。
いつも、一手届かない。
失ってから、後悔してから気付くんだ。
そっと、指輪に口付ける。
「愛していたよ」
笑って、自分の首に刃を振るった。
1/24/2026, 6:20:06 AM