水上

Open App

起きながらにして、夢を見る心地だ。彷徨う街角は、不思議な色をしている。霞んだ向こうは、滲んでいてよく見えない。自分さえ見失いながら、それでも。忘れ得ないのは、何よりもきらめいているから。似たような色、似たような形で区切られる風変わりな街の中。忙しなく行き交う人らもまた、似たような格好をしていた。あの人は、どこにいるだろうか。

「ちょっと、503のおじいちゃんまた徘徊してる」
「あ、ほんとだ。戻す?」
「見守りでいいんじゃない?戻してもすぐ出てくるよ」
「今日も例の人探しかな?」
「たぶんね」
「誰探してるの?奥さん?ご家族?」
「前に話聞いた感じだと、おそらく奥さん」
「へー、なんかいいな」
「会いたいと思える相手がいるっていいよねぇ」

〉巡り会えたら

10/3/2022, 10:17:11 AM