名前の無い音

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『満月の夜』



電話をしながら窓の外を見る

空には 大きな お月さま
今日は 満月だ

「お月さま見える?めっちゃキレイだよ!」

私は 窓を開けて 外の空気を吸う

『あぁ こっちも見えるよ
ねえ ちょっと 月に手をかざしてみてよ』
「え?」
『いいから いいから やってみて』

彼が ちょっと真面目なトーンでそう言った
私は 言われた通りに そっと掌を月に向けた

『かざした?
……はい いま僕ら 光で 繋がりました』

一瞬 世界が無音になった

『あ……ヤバイ?キモい?これ ダサすぎる?』

「キモい!凄く!ヤバッ…… 」

どこかで 聞いたような セリフ
でも 月にかざした 手から溢れる
月明かりは 確かに 綺麗だった

「でも······凄く…… 嬉しい かも……」

二人だけの時間
ちょっとだけ 素直になれる 魔法がかかる

「大好き…」
『同じく…』

「はぁっ??なんでそこ省略するのよっ!しないでよ バカッ!」

二人だけの瞬間
わたしは あなたを もっともっと好きになる

5/26/2022, 1:11:55 PM