YOU

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「あー、出会いないかな」
公園のベンチに座り、キミは深いため息を吐く。
「別れたばっかなのに、よく次にいこうと思えるよな」
つられたように、俺も深いため息を吐く。
「だって春だよ?春なら新しい出会いがありそうじゃん。春恋したいな」
「…春恋ね」
彼とケンカして別れたから。と、憂さ晴らしに付き合えとキミに言われ、公園に来たわけだけれど。
「興味なさそうだけど、彼女いないんだよね。春恋したくならない?」
俺達は家が隣同士の幼なじみだから、俺達が話さなくても親情報である程度のことは把握している。だから、俺に彼女がいないことも知っているんだろう。
「俺は、別に」
「ふーん、そっか」
聞いたくせにどうでもいいのか、俺から視線をそらし、キミはジュースを飲んでいる。
「俺はずっと、キミのことが好きなんだ」
そう言えたら、俺達の関係は何か変わるのかな。
でも、憂さ晴らしに付き合わされるだけだとしても、キミと会えなくなるのは辛い。
俺の覚悟ができない限り、俺の春は遠そうだ。

4/16/2025, 8:24:35 AM