【大切なもの】【1つだけ】
【それでいい】【君の目を見つめると】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
3/25 PM 2:10
(……帰ってこないな)
雨はすっかり止んでいたが、
宵はまだ家に戻っていない。
「宵ちゃん、帰ってこないねぇ。
バスケ部のみんなとのガールズトーク、
盛り上がってるのかな?」
オレの考えを見透かしたかのように
暁が話しかけてくる。
「宵はあまり得意じゃないだろうけどな、
ガールズトーク」
「確かに~。でもまぁ、超美人なのに
恋バナとか苦手なとこが宵ちゃんの
可愛さだから! 萌えポイントだから!」
両手で握り拳をギュッと作って力説する。
そうだな、と迷わず同意すると、
暁は嬉しそうに笑った。
「ふふふ、愛だねぇ、真夜(よる)くん」
――暁は昔から、オレの宵への気持ちを
否定したことがない。
大切なものが宵しかないようなオレに、
実の妹を好き過ぎて変だとか、
頭がおかしいんじゃないかとか、
面と向かって言ってくる奴等もいたのに、
暁は違った。
『宵ちゃんを大好きなことも含めて
真夜くんは真夜くんなのに、
それをおかしいって言う人は
真夜くんのこと何も分かって
ないなぁって思う』
『……暁は、オレが、宵のこと
今みたいに好きなままで、
それでいいって思うのか?』
『それでいいっていうか、
それが真夜くんだと思ってるから』
『……そうか』
『うん。宵ちゃんを大切にしてる
真夜くんは素敵なお兄ちゃんだよ!』
そんな風に、あまりにも明るく
肯定されたから、自分の心を
殺す必要はないんだと思えた。
まぁその結果、オレのシスコン度合いは
益々強まる一方になったけれど。
1つだけ確かなのは、オレは暁の言葉に
救われたんだということ。
「暁」
「ん?」
呼びかけて、キミの目を見つめると、
澄んだ瞳で見つめ返してくる。
「宵、早く帰ってくるといいな」
「寂しくなっちゃうから?」
「そう」
即答すると、暁は更に笑みを深くした。
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もう暫く、お題に追い付くには
時間がかかりそうです。
4/9/2023, 3:23:08 PM