ブラックネック

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倉島は、細田がバイク乗りだということに
心底驚愕した。
なぜなら、細田は細っこくてメガネをかけて、
おおよそ今自分の目の前にある大型バイクを乗りこなすような男に思えなかったからである。
「細田…なんか違うわ」
もたらされた動揺を抑えるために、
倉島は頬を手で撫で回しながら言った。
細田は2つのヘルメットを取り出しながら、
その倉島の発言に体を向ける。
「何が?」
「お前と、そのバイクが結びつかねえ」
細田はふふっと笑いながら、
倉島にヘルメットを渡し、自身もヘルメットを被りながら
「倉島くんが言いそうなことだね」
と平坦に言い放った。
「まあ、気持ちはわかるよ。僕も、倉島くんが読書家だったら『なんか違う!』と思うだろうし」
倉島は慣れない手つきでヘルメットを被る。
「ってか、なんでこんな遠いところに停めてんだ?お前、毎日学校終わりにここまで歩いてるわけ?」
スタンドを倒して、細田はバイクに乗った。
「僕がバイク乗るなんてバレたら、みんなが倉島くんみたいな反応して厄介だからね。後ろ。乗って?」
細田の後ろの席に乗る。
「だからね、これは二人だけの秘密。黙っててね」
「お、おう」
倉島は、なんだか不思議な感覚にとらわれたまま、その大きなバイクが自分と細田を
風の世界に誘う瞬間を味わうことになった。

5/4/2026, 5:32:28 AM