谷折ジュゴン

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創作「君と出逢って」

君の薦めで読んでいた小説がボーイズラブばかりであると気づいたのはつい最近のことである。僕はそれとなく、どうして同じジャンルばかりを薦めて来るのか君に尋ねた。

君は言う。僕に嫌われると思って直接「腐女子」であると打ち明けられなかったと。随分甘く見られたものだと僕はショックを受け、しばらく君と目を合わせられなかった。

僕は数日悩み、君が好きそうな一冊を選んで贈った。だけど、君は無理して合わせてくれなくて良いと切なく笑うだけだった。

余計な気づかいだった。モヤモヤしながらまた時が流れる。そして、ある日僕の好きな本を君が本棚から抜いて行くのを見た。堅苦しいと毛嫌いしていたのに、君は穏やかな顔で文字を目で追っている。

僕は嬉しくなって、君の好きな本を手に君の隣に座った。
(終)

5/6/2024, 4:17:53 AM