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この世界の私を起点とした半径3m外は残らず全て背景である。
人口密度に応じてその範囲は狭まり、背景の割合は増える。例えば、都会の雑踏は2㎜、田舎の農道は100m……。
何を言いたいかと言うと、すれ違う人間どもは皆、その背景として機能するその場限りの存在で、すべからく容姿などはランダムに生成されるということだ。
雑踏の声は実は彼らから発されたものでなく、全員が幻を聞いていて、会話の内容は不明瞭かつ漏れ聞こえた単語が意味のあるものとして処理されない、そんな形をしている。
肩をぶつけた足を踏まれたと思うのは実は肩や足がそれ単一の存在としてこの世界を跋扈しており、普段は透明な彼らが突如雑踏に現れることで、間近に居る肩や足の複合体である人間が犯人となる。
この雑踏のように不明瞭な話は単純明快な結論を持っている。

自分以外が背景であるこの世界は、ゆえに誰もが、一人である。
【誰もがみんな】2024/02/10
このぶんでなんとなくかたちがそうぞうできたひとはじぶんときがあいます

2/10/2024, 1:00:12 PM