手のりインコのピィちゃん
鳥かごを開けると
ぼくの指につかまってくれる
ピィちゃんは
ぼくの心をポッとあたたかくする
学校から走って帰る
ただいまピィちゃん
ある日ピィちゃんはいなくなった
ぼくがいない間に逃げ出したのだと
鳥だから仕方ないねと母が言う
元気に空をとんでいったのか
楽しくしててくれるならいいな
でも20年経って
大人になった僕を前に
うっかり口が滑ったのか
ほんとうはイタチに襲われたのだった
優しい嘘だったのだろう
でも
心の中で幼いぼくが悲鳴をあげた
知らずにいたことが罪のように
「鳥かご」
#176
7/25/2023, 11:02:57 AM