「高峰って分かりやすいよね」
「え、なに、急に」
「別に〜」
私の斜め前に座る高峯は、授業中も、窓際を見ているような奴だった。
窓際にいる私の親友のことを、飽きもせず、ずっと見ているような奴だった。
そんな高峰の背中を、私はずっと見ていた。
「湯原はさ、めっちゃ寝てるよね」
「失礼だな、寝てないよ」
「あんなに机に突っ伏してるのに?」
寝たフリ、してるだけだよ。
なんて、高峰には絶対に言えないけれど、
それでも、寝ていると思われていて安心した。
「高峰は、ずっと窓際見てるよね」
「なんで知ってるの」
「だから寝てないって言って....」
そこまで言って、私は大切なことに気がついた。
「なんで私が机に伏せてるの知ってるの?」
私はずっと、窓際を見つめる高峰の背中を見ていた。
高峰は、私に背中を向けているはずなのに、どうして?
「あー、今のやっぱなかったことにしていい?」
「いやいや、え、どういうこと?」
疑問だらけの私を見つめて高峯は、耳を触った。
「窓に反射してるからじゃん、湯原が、」
耳を触るのは、照れた時の高峰の癖だった。
《これまでずっと》
7/12/2024, 1:14:06 PM